福岡市交通局は、現在建設中の七隈線延伸区間に設ける新駅の名称と、増備される新型車両の仕様を決定しました。
福岡市地下鉄七隈線の延伸事業は、2014年2月に着工した天神南駅〜博多駅間の約1.4kmを建設する工事です(地図は下図を参照)。2022年度の完成を予定しており、開業後は七隈線沿線からJR線の利用がスムーズになるほか、福岡空港方面への利用も便利になります。
このたび、延伸区間に建設中の新駅の名称が決定しました。福岡市博多区祇園町に設けられる中間駅(仮称)は「櫛田神社前」駅(くしだじんじゃまえ / Kushida Shrine)になります。駅北側にある櫛田神社には、ユネスコ無形文化遺産に登録されている「博多祇園山笠」が毎年奉納されており、“お櫛田さん”の愛称で市民に広く親しまれています。多くの観光客が訪れる場所を駅名とすることで、来訪者にわかりやすく、地下鉄の利用促進につながるとして駅名に選定されました。
櫛田神社前駅の南側には、ショッピングモールやホテルなどが集積した大型複合施設「キャナルシティ博多」があり、これまで電車でのアクセスが不便だった同施設にも行きやすくなります。
なお、終点駅については仮称がそのまま使用され「博多」駅となります。七隈線と空港線とのホーム間距離は約150mで、改札を出ずに通れる専用通路がつくられます。JR博多駅へは、駅前広場下の地下街を経由して直線的に上がることができ、乗り換えの利便性が考慮された設計となっています。
交通局は、七隈線延伸に伴い導入する新型車両の仕様についても発表しました。名称は「3000A系」(Aは「Advance」の頭文字)で、4編成(1編成あたり4両)が増備されます。
エクステリアは、従来車両3000系で用いられてきた、西南部地域の山々の稜線をイメージした「グリーン」のラインカラーに加え、広く澄んだ青空をイメージした「スカイブルー」が配色されています。七隈線が延伸により「空の玄関口」福岡空港へとつながるイメージや、アフターコロナのまちの発展を支える地下鉄の象徴の意味も込められているとのことです。
インテリアには、「櫛田の銀杏」で有名なイチョウの木をイメージした、従来より明るい木目調が使用されています。車椅子やベビーカー利用者の優先スペースは全車両に設置されており、中間車の優先席には、座面が通常座席より60mm高く肘掛けがついた「立ち座りしやすいシート」が採用されるなど、ユニバーサルデザインが取り入れられています。両先頭車は出入口付近のスペースを拡大し混雑を緩和するため、座席が7人掛けから5人掛けに変更されます。
また、吊り手や手すり、座席は抗菌・抗ウイルス素材となっているほか、車内で利用客が触れる可能性がある場所には抗菌・抗ウイルス剤のコーティングも行われ、感染症対策が強化されています。
3000A系車両は、先行して投入される2編成が2021年9月下旬〜10月上旬に橋本車両基地に搬入され、2021年度の冬頃から営業運転を開始する予定です。